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顔。

2015年セリーグの優勝は
まさかのヤクルトに決まった。
私は延長11回サヨナラの瞬間を
テレビの野球中継で見とどけ
少し早かったが寝ることにした。

翌日は朝から
義父が入院する病院の
ソーシャルワーカと会う事になっていたからだ。

すっかり寝入った頃
家人の起こす声で目が覚めた。
「おとん、危ないらしい。」
午前2時をまわっていた。

家人は芝居の稽古に出かけていた。
その後、そのまま飲みに行き
帰宅した玄関のところで
病院から電話を受けたらしい。

動揺しているのだろうが
酔っているため
ちょっとヘラヘラしている。
私の方は寝ぼけ眼だ。
ボケボケだけど
とにかく私達は病院に向かった。


私が義父と初めて会ったのは
25年位前。
初めて家人の実家へ挨拶に行った時のことだ。
私はもともとトイレが近いのだが
緊張していた事もあり
話をしている最中にトイレに行きたくなり
もぞもぞしていた。

それに気が付いた義父は
「そう遠い所でもないし、行きゃあいいんだよ。
ウチはざっくばらんな家だから。」と
ニヤリと笑った。
それから何度となく
義父のそのニヤリとした顔を見て来た。

体調をくずした義父が
近くの総合病院へ行ったのは
今年の3月のことだ。
そこで我が家から自転車で15分位のところにある
大学病院を紹介された。

だが義父はなかなかその病院へ行ってくれない。

家人は何度も連れて行こうとしたが
義父は頑として行こうとしない。
そうしているうちに
段々と食事がとれなくなっていき
やがて水分も取れなくなっていった。
もうこのままでは危険という状況にまでなった。

9月の2週目。
豪雨にみまわれ鬼怒川が決壊した日の翌日は
久々に晴れた。

意を決して
家人と力づくで
義父を病院に連れて行こうとした。
それでも義父は拒んだ。
もう随分痩せて、意識も朦朧としているのに
何処にこんな力が残っているんだろう。

その翌日。
しかたなく叔父夫婦に来てもらい、
4人がかりでやっとのこと
病院に行くことができた。

病気の症状よりも脱水症状が深刻で
とにかく点滴、即入院である。

その日も翌日も義父は寝続け
何時どうなってもおかしくない状況と言われた。

入院して二日後の夜
病院に行ってみると
義父はベッドにいない。
「あれ?」と思っていると
病室の前にあるトイレから義父がでてきた。

「おう。」
点滴をカラカラと押しながら、
すたすた歩いている。
昨日までの様子からは想像できない。
担当医も驚いていた。

その姿に私はなんだか嬉しくなって
義母に電話してしまった。

その翌日位からは
直接栄養を胃にとおす管を
鼻からいれるようになっていた。

入院して一週間位たった頃
義父と雑談などしていると
義父は自分の電動アシスト自転車を
「そっち(私達)で使えばいいんだよ。」と言って
ニヤリと笑った。

久々に見たあの顔だ。
家人に言わせると
ここ数カ月間で久しぶりに笑ったという。

病状と大学病院という性質から
長期の入院は叶わず
転院のための処置が進められた。

その間にソーシャルワーカと
今後の事を話し合う予定であった。

病院から「あぶない」と電話があったのは
処置のための手術を
三日後に控えた夜中だった。

病院に到着してナースステーションに行くと
いつもの病室とは違う部屋へ通された。

義父はベッドに寝ていて
今まで付けていた医療器具が外されていた。

「ああ、間に合わなかったんだ。」と思った。

担当医の話では
発作のようなことではなく
段々と鼓動が弱くなり
静かに心臓が停止したそうだ。

義父に触れてみる。
顔は冷たかったが体はまだ温かかった。

朝になって、家人が電話で義母に伝えた。
前の日の昼間、義母が病院に訪れた時
義父は笑っていたそうだ。

入院してから三週間後の出来事である。

義父にとって病院での三週間は
辛いだけだったかもしれない。
きっと自分の家で
最期の時を迎えたかったのだろう。

それでも
残された者の想いでしかないのだけれど
もう一度、義父らしい顔を見せてくれた事、
私は嬉しかった。

お義父さん、ごめんなさい。

それから電動アシスト、いい感じです。

 
| まつ | 23:06 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
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Comment
ご冥福をお祈りします。お義母さまのお気持ちが少しづつでも癒されますように。
Posted by: ゆりこ |at: 2015/12/04 12:35 PM
ゆりちゃん、ありがとうございます。
私も同じ想いです。
Posted by: まつ |at: 2015/12/06 5:38 PM








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